とらんぷ館

中井英夫について

中井英夫(本名同)

1922.9.17~1993.12.10
作家、編集者。
代表作は『虚無への供物』(64年)、『とらんぷ譚』(80年)。『とらんぷ譚』の中の一編『悪夢の骨牌』で第二回泉鏡花賞受賞。

編集者としての中井英夫

東大在籍時に吉行淳之介、椿實らと第十四次「新思潮」を編集(十三は「不吉」ということで、中井が飛ばした)。
東大中退後、「短歌研究」「日本短歌」(以上日本短歌社)「短歌」(角川書店)編集長を務め、寺山修司、中城ふみ子、塚本邦雄、春日井建などを見いだす。

幻の作家「塔晶夫」

62年に「虚無への供物」第二章までを第8回江戸川乱歩賞へ応募。佐賀潜「華やかな死体」、戸川昌子「大いなる幻影」が受賞、次席に留まる。
64年に『虚無への供物』を完成させ、2月29日に塔晶夫名義で講談社より出版。63年の毎日新聞やミステリーマガジン(早川)で、戦後二十年間のベストミステリー1位になるも、書評では不評だった。

中井英夫へ

塔晶夫の名前を捨て、三一書房から『中井英夫作品集』刊行。装幀武満徹。「虚無への供物」「あら皮」「青髯公の城」「黒鳥譚」を収録。70年から雑誌太陽で『幻想博物館』を連載。以降『悪夢の骨牌』(第2回泉鏡花賞)、『人外境通信』『真珠母の匣』を発表、80年に『とらんぷ譚』として一冊にまとまる。
エッセイ集として「ケンタウルスの嘆き」 や、戦中日記「彼方より」、日記「月蝕領宣言」などを出す。
93年、『虚無への供物』開幕と同じ12月10日金曜日に肝不全のため死去。